

風の草刈り−大地の再生–
草刈りというと、地際まですっかり刈り払い、更地のようにきれいにすることを思い浮かべる方が多いかもしれません。 けれど、大地の再生には、それとは違う草刈りのあり方があります。矢野智徳さんが実践されてきた、風の草刈りです。 風の草刈りが大切にしているのは、草と戦わないこと。風に倣い、草丈の高いところ、低いところ、刈るところ、あえて残すところをつくります。 そうした濃淡をつけながら手を入れることで、風が草の間を抜けやすくなり、地面まで届くようになります。 風がまったく通らない、密に茂った草むらの中は、湿気がこもりやすく、蒸れたような空気が滞りがちです。反対に、根こそぎ刈り払われて何もなくなった地面は、日差しと乾いた風を直接受けて、今度は土が乾きすぎてしまうことがあります。 そのどちらでもない、風がやわらかく通り抜けていく状態をつくること。 この草刈りのあり方は、地面の下の話ともつながっています。 以前お話しした通り、健やかな土地では、地中に空気と水の道——通気浸透水脈が通っています。地上で風がよく通う場所は、地中の空気の巡りも良い。草の刈り方一つが、地
6 日前


通気浸透水脈-大地の再生-
雨上がりに水たまりを見比べて見てください。 人がよく通る通路の脇には、いつまでも水が浅く残っている。けれど、ふだんあまり人が入らない植え込みの奥では、同じくらいの雨量だったはずなのに、水はもうほとんど見当たらないなんて場面に遭遇するかもしれません。 同じ庭の、同じ雨。 違うのは、土の状態です。 この場合、人が繰り返し歩く場所では、土の粒と粒の間が、少しずつ押しつぶされて詰まっていきます。すると、雨水はその隙間を通り抜けられず、行き場を失って地表にとどまってしまう。 一方、あまり踏まれていない場所では、土の中に小さな隙間が保たれていて、水も空気も、その隙間を伝って地中へと入っていくことができます。そして植物たちの根っこがより、その機能をになってくれています。 前回、「山から海まで、脈はつながっている」というお話をしました。 その脈は、地上の川や水路だけでなく、実は地面の下にも続いています。 土の粒と粒の間、根が伸びていった跡、小さな生きものたちが動いた跡。そうした無数の隙間が寄り集まって、地中にも、水と空気が通っていくための道ができています。...
8月27日


山から海まで、脈はつながっている−大地の再生−
庭の仕事を終えた日の夕方、通り雨が降りました。雨をしばらく見ていると、水が集まり 、普段は何もないところに小さな川が現れます。芝の上を走り、砂利を抜けて、そして小さな溝へと吸い込まれていきました。 水を目で追っていくと、溝は庭の外へと続き、道端の側溝に合流します。それはやがて少し離れた小川へと流れ込んでいく。小川は、この土地の少し下手で、もう少し大きな川と合流します。そしてその川は、まだ私が見たことのない場所で、海へと向かっていく。 たった一滴の雨が、庭から、海まで続く道を持っている。そう思うと、目の前の小さな水たまりが、急に遠くまで広がって見えてきます。 「大地の再生」には、こうした見方を大切にする姿勢があります。山から海まで、脈はつながっているという考え方です。 山に降った雨は、大地にしみ込み、地中を通って、やがて川となって流れ出します。山を潤し、里を抜け、街を通り、海へと注ぐ。この一連の流れを、大地の再生では、ひとつながりの「脈」として捉えます。空気の流れも同じように、山から吹き下り、里を抜け、海の方角へと続いています。...
8月20日





