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大地は、呼吸している − 大地の再生 –

  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

夏の終わりの庭に立つと、少し前まで容赦なく照りつけていた光が、心なしかやわらかくなっていることに気づきます。


しゃがんで土に触れてみると、乾いてかたく締まった表面の下に、まだひんやりとした湿り気が残っている場所がある。そういう場所では、なぜか草の色も少し濃く、虫たちの気配も賑やかです。


同じ庭の、ほんの数メートル先なのに。なぜこんなに違うのだろう。


長く庭や山の仕事に関わっていると、こうした「なんとなく元気な場所」と「なんとなく元気のない場所」の違いに、何度も出会います。



「大地の再生」は、造園家の矢野智徳さんが長年の観察と実践の中から築いてこられた技術であり、自然との関わり方そのものです。


土地の空気と水の動き、地形、土の中の生きものたち、木々や草花——それらをよく観察しながら、その土地がもともと持っている循環を取り戻していく。その考え方そのものを指しています。


その中心にあるのが、「大地は呼吸している」という捉え方です。


目に見える地上の景色だけでなく、地面の下でも、空気が動き、水が動き、根や小さな生きものたちが働いています。その動きが滞りなく続いていることが、大地が健全に呼吸している状態と捉えます。


反対に、空気や水の通り道がふさがれてしまうと、土が締まり、地上の植物や生きものにも、影響が現れます。元気のない木、育ちの悪い草花、水はけの悪い庭——その多くは、地面の下で呼吸が滞っていることのサインなのかもしれません。


だからこそ、大地の再生は、まず「観察する」ことから始まります。


雨が降ったとき、水はどこに集まり、どこで留まり、また、どこへ向かおうとしているか。風は、どこから入り、どこへ抜けているか。木々はどんな枝ぶりで、幹や葉っぱはどんな表情をしているのか、土はどんな感触をしているか。 そこにすでにある自然の動きを観察し、それを妨げているものがあれば、そっと手を貸す。

そしてもうひとつ、大切な視点があります。


一つの庭や一枚の土地は、その場所だけで完結しているのではない、ということです。庭に降った雨は、排水溝を通じて敷地の外へ、川へ、そして海へとつながっていきます。庭を抜ける風も、山から吹き下りてくる風の続きです。小さな庭に立つとき、私たちは同時に、山や川や海につながる、大きな循環の入り口に立っているのだと思います。

「大地の再生」という言葉を聞くと、専門的な技術を思い浮かべるかもしれません。実際に、地面に穴を掘る、風が通るように草を刈る、木の枝を揺らしながら剪定する、水の通り道をつくる——そうした具体的な手を入れる場面は、たしかにあります。それらについては、これから、一つひとつお話ししていきたいと思います。


根底にあるのは、技術そのものよりも、その土地の呼吸を取り戻す(空気と水の循環をうなが)すという意識です。


難しい専門知識として読んでいただく必要はありません。庭のない方にも、玄関先の小さな鉢一つ、ベランダのプランター一つからでも、通じるお話にしていけたらと思っています。


植物も、虫や動物たちも、実は日々大地の呼吸を促す働きをしています。


その動きに、少しだけ耳をすませてみることから、この連載を始めたいと思います。



 
 
 

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